5 食べ残しのフランスパン
フランスパンをどう食べるかは別の機会を設けることにして、ここでは食べ残したパンをどうしているのかを考えたい。
バゲットは半日でかたくなり味も落ちてくる。かたくなったパンをどう食べるのか。日本人がご飯粒を残さないように、フランス人はパンが主食だから、捨てるのはもったいないと工夫をこらす。
① 半分に切ってトースターで軽くあぶる。
② 切って牛乳に漬け込み溶き卵に潜らせバターで焼く、そう、フレンチトーストの出来上がりだ。フランス人はパン・ペルデュpain perduと呼んでいる。その意味は「失われたパン」。
③ おろしてパン粉に
④ 硬い皮を5㍉角に切ってスープの浮き身やサラダにふりかける。
6 パン職人になるためには
フランス全土で約35,000のパン屋さんがあり、職業高校で2年間勉強してCAPブーランジェという国家資格に合格しないとパン屋さんにはなれない。日本のように、パン屋さんになりたいからとパン屋さんで修行してなれるわけではないのだ。
そのうちパリ市内には1300人のパン職人がいるという。一度パリでパン屋さんを取材したとき、パンコンクールで賞を取ったというその職人さんは、毎朝2000本以上焼いていると言っていた。データを見ると、平均給与は20万円くらいとあり、フランス人の平均給与としてはおそらく悪くない方だろう。
7 フランスパンがユネスコ無形文化遺産
フランス政府は国民食「フランスパン」のバゲットについて、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に推薦することを決めました。
フランス文化省は26日(2021年3月)、ユネスコの無形文化遺産の候補に「バゲットの熟練の技術とその文化」を推薦すると発表しました。
フランスパンのバゲットは水・小麦粉・塩・酵母の4種類の素材だけで作りますが、練り方や焼く時間など独特の技術によって店の数ほど違う味ができるといわれています。
パン店のオーナー:「(製法は)秘密ですよ。こしらえ方ですからね。どのパン屋にもそれぞれのタッチがあるんですよ」
「テレ朝ニュース2021/3/27 より」
終わりに
ウクライナ戦争の余波で、フランスで様々な値上がりが行われていて、フランスパンが値上がりしているとの報道に触れた。やや大袈裟なニュースである。例えば1€のバゲットが1.1€になったとのこと。おそらくそれが1.5€になれば暴動が起きるかもしれない。
それよりも心配なのが、パン消費の減少である。
20世期初頭は、一人当たり1日900g(バゲット4本くらい)食べていたが、21世期に入っては153gまで減ったという。
まずは、食習慣の変化。健康志向によりパンはカロリーが高いからという理由。工場生産のパンが登場して味が落ちたからという理由。パンの種類が増えてバゲットの消費が減ったとの理由。グルテンフリーを好む人も増えているようで、フランス独特の変化があるようだ。
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